大森、緑溢れる『SO.YO.GO』
品川駅から京浜東北線でものの5分、「大森」駅へ降り立つと街ゆく人々の賑わいに心が躍る。少し先に大森海岸や「しながわ水族館」、大田区で最も広い敷地をもつ「平和の森公園」などがあり、各地からの観光客も呼び寄せる街だ。駅中には若者向け商業施設がある一方で、東口の通りを進めば昔ながらの食事処や商店街があり下町の風情も残る。暮らしやすい街であり、品川・横浜や空港へアクセスの良さは働く世代にとって便利な街でもある。
そんな大森駅東口から歩いて7分程の静かな住宅地に建つのが、全9世帯のアパート『SO.YO.GO』。屋上には入居者であれば誰でも使える約78平米のガーデン付き。屋上をはじめ、階段などの共用部には植木やベンチが並べられ、オーナーの丁寧な手入れによっていつも美しく保たれている。
写真右:『SO.YO.GO』共用入り口の置かれた植木。至るところに緑が溢れている。
2011年4月から『SO.YO.GO』最上階の部屋に暮らすのは、建築設計を仕事とする小田さんだ。金沢工業大学建築学科の学生だった頃、ブルースタジオが関わるRDAプロジェクトに参加しリノベーションに興味を持ったことが入居のきっかけとなった。
「当時、オーナーに働きかけて、学生でありながら実際にアパートをリノベーションする経験をしたんです。その時に完成した部屋を見て、就職したら自分もリノベーションした部屋に住みたいと思ったんです」(小田さん)
大学を卒業後は希望の建築設計職に就き、1年間の名古屋勤務を経て、東京勤務となった。会社の本社がある品川近辺で部屋を探すなかで、ブルースタジオのウェブサイトで大森にあるこの部屋を見つけた。
「他にも物件は見たのですが、一番の決め手は広い屋上があることでした。まわりが住宅地なので見晴らしが最高なんですよ。東京に友人が多いので、家に招いて屋上でパーティするイメージを初めからもっていました」(小田さん)
この日は職場の上司と同僚を招き、屋上で鍋を囲みお酒を楽しむ小田さん。青く澄んだ冬空のもと、温かい料理と仲間の笑顔があふれていた。
玄関ドアを開くと広がる土間スペース。『SO.YO.GO』には収納が一切ないが、小田さんはセルフビルドの木製ラックを土間に置き、コートやワイシャツなどを収納していた。
「収納がないことが、かえって家具を考えるきっかけとなりました。既製品ではぴったり合うサイズがなかったので、部屋の間取りに合うように1つ1つ家具をデザインして、屋上を使ってDIYしています」(小田さん)
ソファの前に置いたローテーブルは、ウォールナットの端材を組み合わせて作ったもの。リビングの一番長い壁一面にも、小田さんが手作りしたオープン棚が置かれている。収納する本と洋服の量を決めてから、サイズやディティールの造り方を検討したそうだ。出来上がった棚はミニマムな収納となり、部屋をすっきりと見せている。
「アイディアを形にして実際に家具として成り立たせるにはどうやって作れば良いか、予算を含めて考えて作りましたね。出来上がってみてからよりも、実際に作り出すまでに色々と試行錯誤した時間が楽しかったです」(小田さん)
今ある環境に自分らしく手を加えて、最大限に使いこなす。小田さんのゴールは、物でも生活でも最終形を手に入れることではなく、“使う”ことや“過ごす”こと、つまりプロセスそのものだ。それは、人生のひと時である、賃貸住宅の暮らしを楽しむ秘訣かもしれない。
2011年11月12日 『SO.YO.GO』にて
撮影:藤沢百合 取材・文:和田亜弓 (共にbluestudio)
<今回の入居物件のご紹介>
東京都大田区大森北 『SO.YO.GO』
専有面積:27.72平米
竣工年:1982年
リノベーション完了:2006年4月
物件詳細は、「借りる」の『SO.YO.GO』をご覧下さい。
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