写真右:今も賑わう商店街「阿佐ヶ谷パールセンター」沿いに建つ『Colonia Galleria』。
JR中央線沿線のカウンターカルチャーの拠点としても知られる「阿佐ヶ谷」。南北に走る中杉通りのケヤキ並木は、夏の盛りには涼しい木陰をつくり、秋にはみごとな黄金色の葉で街の人々を魅了する。阿佐ヶ谷駅南口駅前から南阿佐ヶ谷駅までつづく商店街「阿佐ヶ谷パールセンター」は、新しいチェーン店から懐かしさを感じる焼き鳥屋、写真屋、和菓子屋などの小さな商店まで今日も活気を見せている。
この商店街を中間まで進んだあたりにある1階路面にスーパーが入る築40年の建物。この建物の3階から5階が今回紹介する『Colonia Galleria』(コロニアガレリア)だ。クリエイターの為の5つのラボ(専有部)と入居者に24時間開放される1つのギャラリー(共用部)で構成されている。
写真右:共用のギャラリーではミーティングスペースやキッチン、シャワーブースやトイレが利用できる。
このラボの1つに入居しているのが、インテリアファブリックや生活雑貨の製造販売を行う株式会社ノーム。福岡に本社を構える同社の東京オフィスとして、『Colonia Galleria』を借りている。
「東京オフィスを探していたときに、リノベーションというキーワードでブルースタジオのWEBサイトを見つけてここで決めようと思ったんです。東京に出てきて何十件も物件を見る時間もなかったというのもありますが、不動産は出会いだと思うので直感で」と東京オフィスの市川さん。北参道、白金、阿佐ヶ谷と、エリアを絞らずに3物件を見て阿佐ヶ谷に決めた。
「この商店街の雑踏感。僕らはオフィスにいる時間が長いんですが、一歩外に出ればすぐそこに人々の生活がある。商店街に入った瞬間にフッとリセットできるんです。私達のオフィスを訪れる人にもこのコントラストを演出できるなと思いました」。
“仕事なれど生活”と話す市川さん。阿佐ヶ谷の商店街働くということは、その2つが同居しているということ。仕事と生活を行き来することで、緊張感とリラックスの程よいバランス感で働くことができそうだ。
写真上:商品を並べた什器で空間を二分し、手前を接客スペース兼ギャラリーにしている。
『Colonia Galleria』のラボには無駄なものは一切ない。かつての天井を取り払い梁が剥き出しとなった壁と天井、床は少しの土間を残しフレンチパインの木材が敷き詰められている。水周りの一切を省いたおよそ45平米のシンプルな空間だ。
「もともと、棚がビルトインされたような既成のものに入居して納まるというよりも、自分たちがどうやって空間を使うか?という発想を持っていたんです。この部屋はトイレも水道すらない本当にハコのような空間なので、捉われるものもなくどこに何を置くか自由に考えることができるなと。初めてこの物件を見たときにパッとイメージが湧きました」。何もないことが想像することの余地になったという。
写真右:まるでショップのように色とりどりのファブリック商品がディスプレイされている。
東京にある生活雑貨関連のお店にオリジナル商品を卸している株式会社ノームの東京オフィスでは、ラボの入り口側を接客スペース、バルコニー側を作業スペースとして現在2人で使っている。入り口のドアが少し開くと、ショップのようにファブリック商品が陳列されているのが目に入る。白やグレーの素材の色だけの空間にカラフルな色がリズミカルに配され、心まで踊らされるような内装だ。
『Colonia Galleria』504号室に設計事務所を構えるタトデザイン株式会社の大山さんは、夏場にオープンになっていたノームの入り口からその内装を目にした。
「僕たちの飾っているものに、何か響いてくれたようで。声をかけてくださったのがきっかけで知り合いました」。クライアントだけでなく、ここを訪れる人すべてがお客様だという市川さん。どんな空間で過ごすかによってそこで話す内容や人との関係も変わってくる。出会いのきっかけも生まれる。そんなことに気付かされるオフィスだ。
写真上:接客スペースで談話する『Colonia Galleria』504号室のタトデザインの大山さん(奥)と市川さん(手前)。
写真右:ドアを覗くと、味のある古い建物外観とのギャップに驚く。
「お客様の9割は東京なので、以前は毎週と言っていいくらい出張で来ていたんです。そのときは事前にアポイントをとりガチガチに予定を組まなければならない不便さがありましたが、東京に拠点を持って時間の使い方が変わりましたね。仕事の選り分けができるということもありますが、ダラダラと、よく言えば自分のペースで働くことができるようになりました」。
写真右:空間とディスプレイに余白を残し、ゆとりを感じられるように。
“無駄が好き”と話す市川さん。スケジュールに少しの隙間があれば、無理に埋めようとせず、コーヒーを飲んで一息ついたっていい。そんなゆるさがきっと人には心地よい。消費者の人々の心に伝わるような仕事にも繋がるものだろう。
古い建物には、新しい建物よりも多くの想像の余地がある。
ここには一体どんな人が暮らしていたんだろう?3Fのビリヤード場は一体いつから?新築当時の商店街にはどんなお店が並んでいたんだろう・・・?
このビルのたどってきた時間や変化に思いを馳せながら。経年ゆえの空気の流れを心地よさと感じながら。阿佐ヶ谷の『Colonia Galleria』のラボを拠点に、余白のある空間と時間のなかで働くノームの市川さん。
「この地域のコミュニティーで僕らも生活をしている。2年間ここで働いて、今は胸をはって阿佐ヶ谷っていいところですよ!って言えるようになりましたよ」。
2011年3月25日 『Colonia Galleria』にて
撮影:藤沢百合 取材・文:和田亜弓 (共にbluestudio)
<今回の入居物件のご紹介>
東京都杉並区阿佐ヶ谷南 『Colonia Galleria』
専有面積:44.99平米
竣工年:1970年5月築
リノベーション完了:2009年3月
物件詳細は、「借りる」の『Colonia Galleria』ご覧下さい。
ブルースタジオでは、このページの取材に協力していただける入居者の方を募集しています。ご応募は、こちらのメールのタイトルを「お部屋自慢応募」とし、本文に 氏名、電話番号、世帯構成、入居している物件名を明記のうえ送信ください。