地下鉄「青山一丁目」駅のほぼ真上に、SOHOビル『ラティス青山』はある。246カフェの入っているビル、と言えばピンとくる人も多いだろう。1階の路面に入っている246カフェと旅をテーマにした本のセレクトショップはテナント入居者だけでなく近隣に暮らす人々にも利用され人の交流が生まれている。2004年にコンバージョンした当時、すでに築40年だった『ラティス青山』は、入居者のクリエイティブ活動や彼らのコミュニティーの発展より今も現役で地域のハブとしての歩みを続けている。
写真右:「ラティス青山」外観と年代を感じさせる建物共用部の階段。
『ラティス青山』7階のメゾネットにオフィスを構える「株式会社ファッションスタイリストジャパン」は一般男性向けにファッションコーディネートサービスを提供する会社。代表の西岡さんは『ラティス青山』を内見して、ほぼ即決で入居を決めた。
「今の会社を設立して1年は最初に借りたマンションの1室にいるだろうと考えていましたが、予想よりも早く次のオフィスへ移る状況が整いまして、5ヶ月で『ラティス青山』に移りました。ここに入居している知り合いを訪ねたのがきっかけで、すぐ空きがあるかどうか問合せたんです」。
南青山で駅から徒歩2分という立地や、路面テナントによる建物のイメージアップ。入居後に家具をコーディネートしやすいシンプルでカッコいい内装。賃料は30万円台。予算的に少しオーバーしていると感じたが、それに対する価値は大きいと判断した。
「独立後、最初にセレクトショップを数店舗つくったので、お金と労力をかけて一から空間をつくり上げる大変さを知ってるんです。『ラティス青山』は“状況”がすでに完成されていて、入居の段階で軸があるようなもの。スタートダッシュになるので、起業家にとってここにオフィスを持つことの費用対効果はかなり魅力だと思いますよ」。
写真上:メゾネット1Fは接客ルーム。階段下のデットスペースを上手く活用している。
写真右:メゾネット2Fはグリーンの多いスタッフルーム。ミーティングテーブルとミニキッチンがある。
廊下を挟んで向かい合う2つのメゾネットをオフィスとしている「ファッションスタイリストジャパン」では、現在6人のスタッフが働く。1階を接客スペース、2階はそれぞれスタッフルームとストックルームとして使っている。
「お客様の導線、いかに広く見せるか、デッドスペースをどう使うか。この3点はオフィスを作るときかなり考えましたよ」と西岡さん。
コンクリートの躯体と共に露になった配管類や階段がつくるデッドスペース。ミニマムな空間ゆえ工夫が必要だ。不思議と、西岡さんのオフィスは入居前よりも入居後の方が広くなったように感じさせる。
家具はウォルナット、ファイルのカラーはブラウンに統一。コートかけのハンガーは社名ロゴ入りのオリジナル。細部にまで心遣いが行き届いたオフィスに訪れる顧客は感動することだろう。
メゾネット2Fのスタッフルームでは社内ミーティングだけでなく、キッチンで昼食を作りスタッフみんなで食べているそう。
「仕事のスペースだけでなく、仲間のためのスペースも必要でした。お昼ごはんに美味しい手料理を食べられたら、それだけでもここで働いて良かったとスタッフのみんなに思ってもらえるんじゃないかと思って、有機野菜を取り寄せてみんなで食べることにしているんです」。
写真上:細部にまで心遣いを感じるインテリア。
「このデスクはオーダーして作ったものです。インテリアとファッションって、“ここは絶対押さえておかないと”というキーアイテムがあるところが似ていると思います。このデスクは高かったけれど僕の一生ものなんです」と西岡さん。
2階のストックルームにはデニム、Vネックニット、ベストなど、倉敷まで行きオリジナルで制作した洋服がズラリと並んでいる。メンズファッションのポイントとなるキーアイテムは、約2万人の男性を見てきた自らの経験からオリジナルで商品を制作しているそう。
起業前はショップ店員として日々数多くのお客様のコーディネートや商品の陳列をしていた西岡さん。1階の接客スペースには、まるでショップのように美しく服や小物が収納されている。
写真右:スタイリング後の撮影までオフィスで行っている。
西岡さんがあくまで男性専門のスタイリストとして活躍するのには理由があった。
「ファッション雑誌を買って、ビームスやアローズに洋服を買いに行くのは、男性全体の2割と言われています。でも僕は、残りの8割の男性の中にも本当はオシャレをしたい人が沢山いると思っているんです。ファッションが変わると第一印象が変わりますが、1番はその人の安心感や自信に変わるんです。利己的なようでありながらまわりにすごい影響力があるので、実はみんなのためでもあります」。
ファッションは内面の1番外側と表現する西岡さん。その言葉どおり、1人1人とじっくり向き合う西岡さんのファッションスタイリングの仕事は、内面のスタイリングとも言えそうだ。これからも青山、表参道、代官山などのエリアを拠点にファッション業界で活躍していきたいと語る。
2011年2月18日 『ラティス青山』にて
撮影:藤沢百合 取材・文:和田亜弓 (共にbluestudio)
<今回の入居物件のご紹介>
東京都港区南青山 『ラティス青山』
専有面積:**平米
竣工年:1965年10月築
リノベーション完了:2004年4月
物件詳細は、「借りる」の『Lattice aoyama』ご覧下さい。
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