“自分相応の家に住もう”
大田区大森に建つ、9世帯のリノベーション賃貸物件『SO.YO.GO』。2006年4月にリノベーションが完了したこの物件は、当時TBS「王様のブランチ」のお部屋紹介のコーナーで紹介された。3階に住むミュージシャン/工藤正和さんは、毎週かかさずチェックしていたこのコーナーで『SO.YO.GO』を知り、番組とオンタイムでブルースタジオへ問い合わせをした。
「前に住んでいたところには8年間住みました。知人から格安で借りていたアパートということもあって、ずるずるとしていたんです。この部屋は、ガランとしたワンルームが好きだったので気に入りました。」
仕事にも生活にも余裕が生まれ始めた30代。この部屋に移ったことで、家賃は約4倍になったそうだが、“そろそろ、自分相応の家に住もう”と考えたという。
「家にいる時間は長いですね。職業柄、仕事での拘束時間は短いんですよ。15分で済んでしまう収録もありますから。だから、なるべく家で居心地よく過ごせるように意識していますね。内見をしたときは他の部屋も空いていたんですが、2階と3階では眺めの良さが全然違いました。2階には土間の窓も付いていなくて、明るさも全然違った。こんなに居心地が変わるのなら!と思って、家賃は少し上がるけど3階のこの部屋に決めましたね。」
工藤さんは、東京芸術大学を卒業。現在、フリーで活動するトランペットの演奏家だ。現在、ミュージカルやTV、楽器の指導など、様々なフィールドで活躍している。自宅には多数のトランペットが。仕事で演奏するための楽器であるが、見入ってしまうほどにオブジェクトとしても美しい。
コレクターとしての一面
部屋に入り、気づかずにはいられないこと。それは、“サメの多さ”だ。
部屋にはこのとおり、サメと名の付いたものから、サメの絵の入ったものまで、あらゆるグッズがずらりと並んでいる。この日着ていたTシャツも、サメのグラフィック入り。特にTシャツは、相当な枚数のコレクションがあるのだとか。初めは、出会ったら買うという感じだったが、段々とサメを求め、探しまわるようになったそう。
「7歳のときに、映画「JAWS」を見たのがきっかけでした。初めは、その恐怖感に魅せられていたんです。母の実家が宮城の気仙沼なんですよ。子供の頃、そこでサメが山積みにされているのを見た記憶があります。それも影響しているのかも・・・」
サメ学会の会員でもある工藤さん。今では、その生態にまで興味は膨らんでるそう。書棚には、音楽関係の書籍のほか、何十冊ものサメに関する書籍が並んでいた。
よい環境を保つために
『SO.YO.GO』に入居して2年8ヶ月。部屋への期待も大きい分、不満や不便さを感じることもあるという。工藤さんは、ここに暮らすなかで感じたネガティブな感情を、きちんと人に伝えてきた。共用部にゴミボックスが置かれるようになったのも、きっかけは工藤さんの声だった。
「例えば音の問題。大きな物音を立てないとか、でかい音でテレビを見ないとか、まわりの住民の迷惑にならないように気を使っています。」
周囲の住民に対し、良い隣人であることを心がけ、良い隣人であることも求める。当然のことではあるが、“行動に移すこと、人に注意をすること”は、なかなか実行できないことではないだろうか。見過ごしてしまいがち、他人にまかせてしまいがちである。
「この集合住宅は9世帯しかありませんから、入居者とはみんな顔見知りですね。一緒に飲みにいくこともあります。知らない人間が住んでいるのは、僕は気持ちわるい。新しい人が入居したら、自分から声をかけていますね。」
ほとんどの世帯で、住居費は毎月の出費のなかでも大きな割合を占める。それだけのお金をかけているのだから、気持ちよく暮らせる環境を保ちたいと思うのは当然だ。集合住宅で暮らす者としてのマナーを、皆が意識していくことが必要だろう。
「理想を言えば、今の部屋プラス、サメのコレクタールームを1部屋。あと、防音室も欲しいですが・・・」
いつかは『SO.YO.GO』を出て行くときが来るだろう。しかし、次の物件へ移り住んでも、頼もしい入居者であることに変わりはなさそうだ。
2009年2月17日 『SO.YO.GO』にて
撮影:岩田啓治 取材・文:和田亜弓 (共にblue studio)
<今回の入居物件のご紹介>
東京都大田区『SO.YO.GO』
専有面積: 39.33平米
竣工年:1982年
リノベーション完了:2006年4月
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